株券不発行

株券は、企業が運営や経営を行っていくための資金を、広く募るために発行されるもので、こうした仕組みの事を株式と呼んでいます。

この株式において、その企業を運営していくための資金を出した出資者に対して、企業は株券を発行し、その証であることを目に見える形で表したものが株券になり、この株券を有する者は、その企業のオーナーとして分配される配当金を受け取ったり、経営陣などに対しての発言権を持つなど様々な権利を得ることになります。

こうした株券は、紙媒体で発行され価値のある証、有価証券として通用し、長きにわたってわたしたちの資産運用、資産管理の一つの方法として親しまれてきました。

しかしながら、こうした紙の株券の発行は時代の移り変わりと共に変化を遂げ、今後のネット社会を見据えたうえで、株券の電子化の動きが進められてきました。
これを受けて、2004年には株券不発行制度が導入されることになり、紙の株券が無い場合でも株主の権利を行使することができるようになり、売買などの取引も行えるようになりました。

また、2006年には会社法によって株式会社は株券を原則的に発行しないことが定められ、株券を発行する場合には条件が科せられることになり、株券を発行を望む企業が上場企業ではない事、また、企業の定款において株券を発行する旨を定めなくては発行できないことになったのです。

この事により、株券の電子化が進んでいき、2009年には上場企業では一斉に紙の株券が電子化された株券に切り替えられ、これまでの紙の株券は一切の権利が失われて無効になり、現在では、基本的には株は電子式のもののみ存在することになります。

なお、株券が実在しなくなったことにより、企業は株券の情報まとめた株主名簿を厳格に管理する必要があり、株主の氏名や住所、株券を取得した日、その株券の種類とそれぞれの枚数などを記載して、記録して残さなくてはならなくなりました。

このように株券を不発行にすることにより、様々な株券を所持していた株主、株券を発行していた企業、株券を売買している証券会社のそれぞれに多くのメリットがもたらされることになり、とくに資産を運用するために株券を購入する私たちにとっては、株券の盗難に遭ったり、突然の火事で焼失したり紛失してしまったり、偽装されてしまうなどのリスクが激減し、その資産を守りやすくなりました。

また、企業にとっては株券の発行にかかる印刷や印紙税など、また株券の管理に伴うコストなどが大幅に削減され、また、証券会社では電子化による取引の高速化と効率化、また、株券の管理コストとリスクの軽減が大きなメリットとなっているのです。